左ハンドル車は外国車の”象徴”として、少数ですが日本国内でも走っています。
左ハンドル車が颯爽と駆け抜ける姿を見て、憧れを抱いく方は大勢います。
では左ハンドル車の所有・運転で、どのような所感が得られるでしょうか。
そこで日本で左ハンドル車に乗るメリット・デメリットについて考察します。
左ハンドル車のメリット

左ハンドル車の主なメリットです。
- 左側の見切りが良い
- 縦列で乗降し易い
- 左折時に巻き込み確認がし易い
- 対向車との衝突時に運転手は安全
- クオリティが高い
- ステータス
- 査定相場が高くなる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきます。
左側の見切りが良い
左ハンドルの車場合、駐車時に運転席側は目視で車体を路肩や壁際まで寄せることが可能です。
また狭い道で車から離れる際、車を左側に寄せて対向車に道を開けることが可能で、自転車や歩行者等にも配慮できます。
縦列で乗降し易い
縦列駐車で壁やガードレールが無い場所では、圧倒的に乗り降りがし易くなります。
左折時に巻き込み確認がし易い
左折時の巻き込みが確認し易く、事故防止に繋がります。
対向車との衝突時に運転手は安全
万が一、対向車と衝突した場合、クルマは潰れ易く大変危険です。
ボディは最新のテクノロジーを駆使し非常に安全に設計されていますが、それでも対向車に近い右側の助手席は危険な位置になります。
そのため左ハンドル車では、運転手以外は誰も乗っていない場合であれば比較的安全です。
クオリティが高い
基本的に本国で販売されている車が左ハンドル仕様の場合は、当然ながら左ハンドル仕様を前提に設計されています。
そのため左ハンドル仕様を前提として設計されている車を右ハンドルに変更すると、設計上どうしても無理が生じる箇所が存在します。
1.ATのシフト
大多数の輸入車では右ハンドル仕様でも運転者が左側に座ることを前提としたレイアウトのままです。
現在は国産のコンパクトカーでも一般的にジグザグゲートを採用しているのでイメージが付き易いですが、「P」(パーキング)のポジションは本来であれば運転席側に位置するのが自然です。
よって右ハンドルの場合は、シフト操作のしてS字を描くレイアウトが操作し易くなります。
しかし、輸入車の右ハンドル車の大多数は助手席側に「P」が位置します。
慣れれば何も問題無いと感じますが、左ハンドルのジグザグゲート式ATを操作すると、その自然な操作感に思わず膝を打ってしまいます。
2.ウインカーの操作
本来、ウインカーレバーの操作はシフト操作をしない手で行うのがベターです。
フロアシフトの場合、右ハンドル車は左手でシフト操作をするため、ウインカーレバーは操作負担が分散し、日本車では右側に配置されています。
AT車ではシフト操作の頻度が低いため気になりませんが、ウインカーレバーが左側に配置される輸入車のMTでは左手でウインカーとシフト操作の両方を担うため、多少なりとも煩わしく感じます。
国際規格のために輸入車のウインカーレバーが左側に配置されていますが、AT車でも左ハンドルに乗ったほうがより自然に操作できます。
3.ペダルのレイアウト
現在は違和感はほぼ解消されていますが、厳密には左ハンドル仕様がより適切に配置され、それは同一のモデルで左右それぞれのハンドルを乗れば実感できます。
フットレストが無い、またはペダルの配置スペースに制約があるために、クラッチペダルの位置が微妙にずれて違和感を覚えることがあります。
欧米の左ハンドル車を運転すると、このようなディテールの部分で本来の運転し易さが感じられます。
ステータス
外国車に乗っていることが一目瞭然で、それがステータスに繋がります。
例えば、一見すると外車と国産車の区別が付かない場合がありますが、左ハンドルを見れば誰もが外国車と認識できます。
査定相場が高くなる
古い年式ほど左ハンドルが高く評価され、数十万円の差額が付く場合もあります。
また現在も富裕層向けの高額モデルは、左ハンドル車のリセールバリューが高く、相場の方がより高めに推移している傾向が続いています。
左ハンドル車のデメリット

左ハンドル車の主なデメリットです。
- 右折時に対向車が見え難い
- 高速道路の合流が大変
- 右折時に歩行者が見えにくい
- 縦列駐車した際に寄せられない
- 助手席から下りる時に危険
- 対向車と衝突すると助手席の同乗者が危険
- 運転席からの乗り降りが大変
- 駐車場の発券や料金精算が面倒
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきます。
右折時に対向車が見え難い
右折時に対向車線にも右折車がいる場合、対向車線の直進車が見え難くなります。
右ハンドルでも見え難いことがあるため、左ハンドルでは更に距離感が掴み難くなります。
安全のため、右折時には視界が良好になるまで発進しない等の対策が必要です。
高速道路の合流が大変
特に首都高速道路は合流地点がカーブしている箇所が多く、加速車線が短い入口もあります。
左ハンドル車で左側から合流する場合、右のサイドミラーのみで確認することも大変な原因です。
右折時に歩行者が見えにくい
左ハンドル仕様の場合、右折時は歩行者が見え難くなります。
そもそも対向車が見え難く注意が散漫になるため、右折はとても危険です。
但しピラーの死角は右ハンドル仕様よりも小さいため、慣れの問題です。
縦列駐車した際に寄せられない
運転席が左側のため、縦列駐車では精確に寄せることができません。
厳密には枠線をはみ出した駐車は違反になるため、枠線をはみ出すと取り締まりの対象になります。
助手席から下りる時に危険
停車・駐車した際は、助手席の同乗者は車道側に降ります。
普段から運転している方は大丈夫ですが、運転しない方は危険を伴うため注意が必要です。
対向車と衝突すると助手席の同乗者が危険
メリットとは逆になりますが、対向車と衝突すると同乗者が危険に晒されます。
よって家族等が同乗している場合には細心の注意が必要です。
運転席からの乗り降りが大変
停車・駐車時において道路脇に壁やガードレール等がある場合、ドアを開けることが出来ず降りることが困難です。
一方でドアが開閉できるように停めると、今度は車が列からはみ出します。
どうしても降りられない場合は、助手席側から降ります。
駐車場の発券や料金精算が面倒
現在はETCの普及により高速の料金所で苦労することはなくなりましたが、駐車場は未だに解決されていません。
事前精算機も増えてきましたが、一般的には右側に精算機があるため一度降りる必要があります。
また、ドライブスルーも右ハンドル車に対応した作りが多いため、メニューは大声で注文したり、商品の受け取りも大変です。
そこで左ハンドル車に乗る人は、マジックハンドを上手く利用します。コインパーキングの改札機は、意外と簡単にマジックハンドで駐車券を取ることが可能です。
しかしながら、マジックハンドでは全て解決しません。
駐車場出口の料金支払機はマジックハンドでの支払いは困難です。機械への小銭の投入や釣銭の小銭の受け取り、駐車券やお札の投入も困難です。
また、駐車券の発券機の高さによっては右側の助手席の窓から発券された券へ上手くマジックハンドが届かず、サンルーフを開けて上から手を伸ばしたり、無理な体勢で脇腹を痛めることもあります。
よって後方に車が並んでいる場合は、無理せず後方の車へ軽く会釈し運転席から降りて支払いを済ませる方がスマートです。
グローバルスタンダードは左ハンドル車

世界に目を向けると、グローバルスタンダードは左ハンドル車になります。
世界の70%が左ハンドル車(右側通行)で、右ハンドル車(左側通行)の国は下記の30%です。
- 日本
- イギリス
- オーストラリア
- ニュージーランド
- インド
- 南アフリカ
- 東南アジア
- etc…
国際化が進んだ現代では、常に世界へ目を向けることが重要です。今後は日本から他国へ移住することが珍しくない時代になります。
左ハンドル車に慣れておけば、他国でも違和感なく運転できます。
左ハンドルにまつわるエピソード

左ハンドルの歴史は、車が誕生する前のフランス革命(1789年〜1799年)まで遡ります。
洋の西東を問わず右利きの人は刀や剣を左に差しますが、17世紀後半当時のヨーロッパも兵士達が剣を携帯する時代でした。
よって人同士がすれ違う際には左側通行が当たり難く、馬や馬車も左側通行が一般的でした。
しかしフランスの皇帝ナポレオンが左利きだったため、ナポレオン戦争によってフランスの支配下に置かれた欧州各国やその植民地は、右側通行に切り替えられました。
そして車の左ハンドルも、ナポレオンが交通ルールとして定めた右側通行に合わせています。
一方、イギリスはナポレオンに征服されずに済んだため、左側通行の慣習が残りました。
このように歴史から紐解くと、日本やイギリスの右ハンドル仕様は理に適っています。
日本で左ハンドル車を販売する理由

外国車が日本で左ハンドル仕様車を公式に販売する主な理由を以下に記述します。
コスト削減のため
左ハンドル車を右ハンドル仕様にするにはコストが掛かります。
パーツ数は同一でも、左ハンドル仕様の国が多く販売台数が多いほうが安く製造できるため、右ハンドル仕様はコストが掛かります。
例えばアメリカは販売台数が多いため、日本車を始めとする外国車は本国より安価で販売されています。
このような理由で右ハンドル仕様を製造せず、日本市場には導入しない場合もあります。
左ハンドルが好まれる
外国車は左ハンドルというイメージから、左ハンドルのみ購入する方も存在します。
特に年配の富裕層は、左ハンドル車を選択する傾向があります。
また左ハンドル車に長年親しんできたので、今さら右ハンドル仕様に戻れないという方もいます。
このような方をターゲットとした場合、敢えて左ハンドル仕様に絞ることで利益を確保しています。
国内では減少傾向の左ハンドル車

実は日本国内では、左ハンドル車は減少傾向にあります。その主な理由を以下に記述します。
テクノロジーの進化
以前の車は電気系統による制御ではないため、ハンドルの位置を右に変えるとアクセルを踏んだ時のフィーリングやハンドリングに違和感が生じ、元々の左ハンドルと同様にはなりません。
そこで車を製造している本国と同様の運転感覚を求めて、左ハンドル仕様に乗っていました。
現在はコンピューターによる制御がメインとなり、ハンドルの位置を変えても支障は無くなってきたため、日本やイギリス向けに右ハンドル仕様をラインナップするメーカーが増えました。
以前より憧れが薄れた
外国車に乗ることは、ある意味ステータスのようなものは現在もありますが、昔はその象徴が左ハンドルだったため、いわば左ハンドルへの憧れがありました。
それが現在は右ハンドル仕様の外国車が増え、左ハンドルを選択する方が減少しています。
よって外国車は左ハンドルというイメージが崩れつつあり、その結果、左ハンドルへの憧れも薄れてきています。
まとめ

日本で左ハンドル車を運転することには、上記のようにメリットと同時にデメリットもあります。
しかしながら、左ハンドル車にはデメリットを補って余りある”魅力”があるのも事実です。
車が単なる移動手段ではなく、それ以上の非日常感や刺激を求めたい方には、左ハンドル車は打って付けです。
左ハンドル車には、日本人を惹き付ける不思議な力があります。
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